2021/05/25 ねえママ、だってあたしは

・母親と電話した たまにはね

犬の短歌、よく書けているから親に見せようかな、と思い、そしてやめようと思った。

 

小学生のころだったと思うけどその年代の子どもたちがよくやるようにわたしも自作の設定ノートというものを持っていて、鎌を持った死神の女の子とか、宝珠を耳につけた魔法使いの女の子とか、ローブを身に纏ったオッドアイの吸血鬼などの絵を描いていた。かなり詳細に覚えているけど、ファンシー雑貨屋さんで買った薄いピンクの紙のノートにイラストと説明を一心不乱に書き込んでいた。

勉強机の引き出しに仕舞い込んでいたのだけど、それを見つけた母親は、「何これェ!」と甲高い声で叫び、「月影の魔法使い、ルナ!」と設定ノートを読み上げたのだった。妹を呼び、泣いて返してと言うわたしにいいじゃないと言い、ひどく嬉しそうにはしゃいでノートを読んでいた…

その日の夜、わたしはノートを細かくちぎって破りすてた。

この出来事について、まだわたしの中で消化できていない。なぜなのか、今一度考えてみたのだけど、母親の行動にいっさいの理由がつけられないからなのだ。カワイイ、と思ったのだろうか?ひとり読んでこういう時期か、と思うならいざ知らず、なぜ泣き叫ぶわたしにも関わらず読み上げ続けたのか、妹を呼んだのか、いっさいわからない。これはわたしがオタクだからなのか、自意識過剰なのか、普通の人は自作の設定資料を読まれても平気で照れたように笑うのか?なにもわからず、ただつらかった思い出として消化も圧縮もされないまま、まるっと保存されているのだ。

なぜ?が尽きない。おかあさん、なぜあなたは笑うのですか。おかあさん、なぜ尊重してはくれなかったのですか。なぜ見ないふりをしてはくれなかったのですか。わからないのは仕方がなくとも、なぜすぐに返してくれなかったのですか。

・とはいえ、そこで創作をやめなかったのはわたしの偉いところだな。とっくになにかを作り出す遊びにはまり込んでいたのだが。たぶんこの頃はふみコミュで小説を書いていたのじゃないかな。その後リレー小説を主催などする。受験でいったんやめた記憶があるので中二とかかなあ…

・大人に対する不信感というか、ひどくつらいことをされても誰も助けてくれないという無力感はこのころに覚えたな…おかあさんなぜ助けてくれないのですか、はずっとあって、犬に追いかけられて絶叫していたときも、父親に毎夜プロレスをかけられて号泣していたときも、なぜか笑っている母親の顔は苦しみの記憶とともにある。

・こういった下地があったせいなのか、素養なのか、やがてわたしは攻撃的な反抗期を迎えるのだが…